こんなにも違う!米国の生体腎移植事情
- Miyuki Nemoto
- 2016年4月25日
- 読了時間: 4分
本日は、ちょっと真面目な記事をご紹介したいと思います。
まず本題に入る前にご了承いただければと存じますが、
筆者は、医療従事者または英語のプロでもございません。
元夫の家族に腎臓移植をされた方がおり、
その方から頂いたお話と共に
いくつかの英文資料やニュースをご紹介しながら
簡単な解説をさせて頂いております。
日本においての生体腎移植のガイドライン等は、
オンラインで調べたものであり、
100%正しい情報とは断言できません。
では、本題に入りたいと思います。
今回ご紹介する記事は、かなり前のものです。
訳:「大規模な移植の取り組み<13の腎臓を13名の患者さんへ>」
このプログラムの存在をはじめて知ったのは、
今から、10年ほど前の話です。
「Kidney donor exchange program 」または「kidney swap」
「Paired Kidney Exchange」と呼ばれるプログラムで、
わたしが調べた限り、日本には存在しないプログラムです。
”Since 2001, Johns Hopkins Comprehensive Transplant Center has participated in paired kidney exchanges. A paired kidney exchange, also known as a “kidney swap” occurs when a living kidney donor is incompatible with the recipient, and so exchanges kidneys with another donor/recipient pair.”
ジョンズホプキンス総合移植センターは、2001年から
"Paired Kidney Exchanges"に参加しているようです。
" A paired kidney exchange"(ペア腎臓交換)は、
"Kidney swap"(腎臓交換)としても知られています。
”Two live donor transplants would occur. Suppose there were two donor/recipient pairs, Donor and Recipient 1 and Donor and Recipient 2:”
簡単に言うと
健康な二人の腎臓提供者から、
二人の患者に生体腎移植をすることです。
??と思われる方も多いかと思いますが、
こんな感じです。

リンク:http://www.hopkinsmedicine.org/transplant/programs/kidney/incompatible/paired_kidney_exchange.html#what
Donor 1 would give a kidney to Recipient 2.
ドナー1(腎臓提供者)は、Recipient2(患者2)に腎臓を提供し、
Donor 2 would then give a kidney to Recipient 1.
ドナー2(腎臓提供者)は、Recipient1(患者1)に腎臓を提供する。
”This kidney paired donation transplant enables two incompatible recipients to receive healthy, more compatible kidneys. All medically eligible donor/recipient pairs may participate in the paired kidney exchange program.”
ドナー1とか患者2ではわかりにくいかと思いますので、
もう少し具体的な例を出します。
以下、架空の人物です。
<小林さん夫婦>
ご主人:腎臓移植を必要としている。
妻 ケイコ:本人は健康で、夫に自分の腎臓を提供したいが不適合。
<鈴木さん姉妹>
姉 ノリコ:本人健康。弟に自分の腎臓を提供したいが不適合。
弟 マコト:腎不全のため腎臓の移植が必要。
しかしひらめき電球
小林さんの妻、ケイコさんと鈴木さんの弟、マコトさんは適合。
そして、
鈴木さんの姉、ノリコさんと小林さんのご主人が適合だったため、
全員同意の元、お互いの家族を救うため、
生体腎移植を同時に行った。
これが、ここで言う「Paired Kidney Exchange」のことです。
小林さん夫婦や鈴木さん姉弟のような方が
複数いらっしゃって、同時に生体腎移植を行ったケースが
一番最初にご紹介した記事の内容です。
13組(13名の患者+13名のドナー)計26名による
大規模な生体腎移植が行われたとして
当時、大変話題を呼んだニュースでした。
"In more complex cases, additional donor/recipient pairs may be used. Here is a diagram showing a three-way kidney exchange."

リンク:http://www.hopkinsmedicine.org/transplant/programs/kidney/incompatible/paired_kidney_exchange.html#what
ちなみに3名以上の患者さんに同時に生体腎移植を行う場合、
”Domino Kidney Paired Exchange”と言うこともあるようです。
*ドミノ腎移植と訳されているようです。ご参考まで。
*参考サイト
上記のガイドラインによると
現在の日本では、
生体腎移植の腎臓提供者は、原則として親族(6 親等以内の血族と
配偶者および 3 親等以内の姻族)に限定とされています。
アメリカでは、そのような規定はありません。
そのため、
全く知らない人に腎臓を提供するという方もいたりします。
先日もニュースで小学校の先生が、
ご本人の教え子ではないものの、同じ学校に通う女の子に
腎臓提供を申し出たという話が話題になっていました。
日本は他の先進国に比べ、医療的な問題の他、
倫理的な問題も多く、
アメリカやオーストラリアのように
"Paired Kidney Exchange" や
"Domino Kidney Paired Exchange" が導入されたとしても
(おそらくないと思いますが。。。)
今のままでは、
このプログラムの理解または拡大は
難しいのではないかと個人的には思います。
そもそも臓器を提供するという概念が
日本ではあまり一般的ではないと言いますか、
むしろ否定的な方が多いですし、課題は山盛りです。
とりあえず、ご参考まで
■臓器提供意思登録者数
2016年3月31日現在 133,221人
登録者数は、日本人口の1%未満。
日本の人口 128,057,352人(国勢調査、2010年10月1日現在)
(この数字をみて愕然としたのは私だけですか?)
ちなみにアメリカでは、
成人人口のおよそ42%(100,000,000人)が
ドナーとして登録しているそうです。
”Donate Life America (DLA) announced today that a key goal set by the donation and transplant community in 2006 was achieved this month. The United States can now boast that 100 million Americans — roughly 42 percent of the adult population –are registered as organ, eye and tissue donors in state donor registries.”
わたしですか?
アメリカに居たころもドナー登録していましたが、
帰国後もすぐに登録しました。
どうしてかって?
答えは至って単純でして
自分が死んだ後でも
誰かを救うことができるなんて素晴らしい。
そう思っただけです。
それでは、また。
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